LussoCars
中古車に罪はない

中古車というとネガティブなイメージが強いのですが、一旦ナンバーを付ければ、みんな中古車です。うまく付き合えば、賢くクルマを乗り継いでいくことができると思います。

まず、価格面をみると「新車では高すぎて手が届かないけど、中古車なら手が届く」「新車はバカバカしくて買えないけど、中古なら買ってもいい」ということもあります。たとえば「F355が将来、700万円くらいになったら乗ってみたい」といったように、自分が適正だと思う価格帯に下りてきたクルマを狙うのです。

また、中古車にも新車とはちがった仕上げの愉しさがあります。

わたしは中古車を手に入れると「前に乗っていた人よりも上手に乗ってやろう」「前のオーナーは苦労のあまり手放したクルマでも、自分は苦労しないような乗り方をしてやろう」とつよく思って乗るんです。

そのクルマがどういう扱われ方をしたかを、前オーナーの職業、年齢、用途などを聞き出して「推測」するんです。会社員だったら通勤に使っていたかどうか。週末しか乗れないはずなのに走行距離が伸びていれば、長距離を走ることが多かったと考えられます。すると、年式、走行距離、扱われ方から、悪くなっていそうなところが予想できます。そこを確かめながら乗って、直して、自分が乗りたいクルマのコンディションをつくっていくわけです。

ショック・アブソーバの油も漏れていないし、機能しているんだけど、運転していて「こんなものなのかなあ」と疑問に思えば、年式から逆算して、交換すべきものは気持ちよく交換して、自分なりのクルマをつくっていくんです。

ディーラーの場合、新車のお客さんは大事にするけど、中古車のお客さんは冷遇されがちです。新車で買える人は新車で買って、新車ならではの愉しさを味わっていけばいいと思います。でも、新車か中古車かで、そのお客さんがどっちが上で、どっちが下ということはないはずです。おなじように好きで買ったクルマなのに「いま新車が入庫してるから(中古は)1週間待ってください」と敷居を高くしてしまう。そういうのは好きじゃありません。だから Lusso では、新車か中古車ではなく、そのクルマを選んだ人として乗ってもらいます。

わたしたちは、自信のあるクルマは自信たっぷりに売りますし、自信のないクルマは正直に伝えて乗ってもらいます。いまのところ自信があるのは、アルファロメオ全般(とくに75以降)、アルピーヌ、マセラティ少々といったところでしょうか。

たとえば、LANCIA THEMA がどうかと聞かれてもよくわかりません。3.0 LS はエンジンがアルファだから想像のつく部分もあるけれど、i.e Turbo になるとわからない。そういった、わからないクルマでも「欲しい」と言われれば乗ってもらうこともありますが、そのお客さんはわたしのパイロットになってしまいます。「乗ってみて、いろいろ教えてください」なんて自動車屋に言われると不安になるかもしれませんが(笑)輪郭がはっきりわからないクルマは教えてもらいます。聞いているとだんだんわかってくるんです。

今後、アルファロメオは継続してやっていきたいですし、マセラティについてもギブリ、クアトロポルテ、222などパイロットで乗ってもらっている人たちの面倒を見させてもらいながら、勉強していきたいと思っています。また、自分が好きなクルマについては愉しく乗る方法までをお伝えしていけますから、ロータスでもヨーロッパならば「こうすればもっと愉しく乗れます」「それにはこれくらいお金がかかります」というように言うことができます。

クルマを維持していく上でお金がかからないようにするコツは「転ばぬ先の杖」なんです。形式的な定期点検ではなく、ほんとうの意味での「中身の濃い」点検をしていきたい。その人の乗り方を理解したうえで、見るべきところをきちんと見ていくガレージづくりをしていきたいと思っています。それが維持費を抑えることにつながるはずです。悪いものは換えるけれど、悪くないものまで換えたりはしません。逆に、換えなければならないものは、そう言える環境にしたいですね。《Eワヤマ》(1996/11/30)

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